石ア清子さんの快挙 マスターズ世界大会 金メダル
稜線上に深いギャップを隔て一段高い岩峰がさらに向こうにあった。
山頂を示す標識など見当たらない。しかし100mの頂上を上がるのに1時間も手間取るとは、さすがに尾瀬の秘境の山だけある。ここからの大展望は生涯忘れ得ないだろうと思うほど雄大だった。

景鶴山頂

スノーブリッジ

最初へ

日没が近づき、行く手にポツンと山の鼻小屋の明かりが見えるとどっと疲れが出た。と同時に右足をかなり引きずっていることに気づく。山小屋では我々の帰りの遅いことを心配していた。

部屋で、恐る恐る靴下をとって驚いた。母子の内側面から土踏まずまで皮が剥けている。持ち合わせのメンタムを塗ってガーゼで応急処置。その晩はあまりの痛さで一睡も出来なかった。

尾瀬ヶ原とヨッピ川

少し休んでから平地滑走に入ると、右足内側が痛むのに気づく。靴擦れのようだ。小生の登降兼用のブーツは新調品。外国製のせいか、少し細身に出来ていて、ロングトレールは今回が初めてだった。しかし、勝手知ったコース、足の痛みをこらえて鼻歌が出た。
原の中ほどで、ヨッピ川を渡ろうとしたとき、朝安全に渡ったスノーブリッジが跡形も無く崩れ、増水した濁流がゴーゴーと流れていた。
あわてた2人は今来たトレースを二俣近くまで戻り、昨夜小屋の人から「川の近くには絶対に近寄らないこと」と注意されたのを思い出し、その手前から急な斜面を登りこわごわ高巻した。
初夏の日暮れは遅いとはいえ、日没後のスキーは怖いと思った。
大急ぎで山頂に別れを告げ、雪壁をシリセードで下る途中、軽アイゼンの片方を落として紛失。立ち木に衝突して停まったときに外れたらしい。
下山コースはまず、南方のカッパ山を目指し、この東側をトラバースして、その南にある八海山とのコルを踏んで猫又川東方台地の外田代に下る。ここから田代の原を西に横断して今朝の登山口二俣に滑り込む計画であった。

滝の沢源頭部

●5月2日(雨) 下山
早朝から雨、それも強い降りだ。今日は至仏山を滑る予定だったが怪我もあり帰宅を急いだ。強い雨足が雨具のフードにカタカタ音を立てた。
この雨では融雪が進み、今シーズンの景鶴登山は事実上昨日が最後となるのではと思った。
鳩待峠までの2時間、痛さを堪えてのツボ足登高だった。荷は重いが、シールを滑らせるよりは足の痛さが軽かった。

沼田からの関越道では、雨中1時間の事故渋滞があったが、それ以外は順調だった。

山行記録

気温が高く腐ったザラメ雪は滑りが悪かったが、それでも下りは断然早い。
現在位置の特定を巡って弟と議論になりイライラを重ねたがどうやら八海山とのコルを無事通過できた。
GPS頼りに外田代の広い雪原を横断して行くとシラビソ樹林の間に見覚えある二俣地形が確認できて安堵した。
最後は急斜面のツリーランを一気に決めて二俣に降り立った。
時刻は4時半を過ぎていた。ここまで来ればもう安心。

 

投稿・佐久山隆一

後日談
インターネットで横浜のブーツチューンナップ屋を探し、アウターシェルの幅を10o広げる熱加工をしてもらった。
その後の山スキーでは何の問題も起きず、快適ブーツに生まれ変わったのがうれしかった。

夕暮れの山の鼻小屋

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