頂上に立った10人の幸せな顔・・・

 

イワブクロ

山形と秋田の境、日本海の渚まで裾野を延ばした秀麗な鳥海山には、花々が咲き乱れていた。ここ何年か計画しては天候不良で拒まれていたこの山に7月12日、今年こそはと出かけて来たのだが、山頂を目指す予定の13日、またも猛烈な風雨が吹き荒れて、山小屋から出ることができない。
じっとガマンの1日だった。朝、団体バスで着いたご一行も、やがて途中から引き返した様子で、気がついたときには駐車場にバスの影がなかった。もし、ムリして登っていたら、トムラウシの二の舞になっていたかも。天気予報は翌14日の天候回復を伝えていた。
朝と昼のオニギリをリュックに入れて、明るくなった4時半に出発。登るほどに日本海の海岸線が鮮やか見えて、前日の風雨がウソのよう。近くの月山が雪不足だったというのに、雪渓にはかなりの雪が残っている。そのためか、花々の開花はすこし遅れていたようだが、私たちの眼を十分に楽しませてくれた。
9合目からの上の新山はガレ場がつづき、みな慎重に3点保持で歩を進めた。頂上にたどり着いたのは11時、ここでオニギリを開く。達成感は十分、だが1日ロスしているので、下山は脱兎のように、休みなく先を急いだ。17時には酒田に戻り、山形新幹線でその日のうちにわが家に帰りつくことができた。

花の鳥海山に登りました

掲載 09年8月5日
投稿 古谷 実
写真 田中晃己/荻野光則
青い目玉のような鳥海湖
13日の朝4時半、雨が上がって鉾立の小屋を出る。
チョウカイフスマ
登ってきた後方を振り返ると海まで見えた
鳥海湖の前で一休み
ホソバイワベンケイ
ハクサンイチゲ
チョウカイアザミ
キタヨツバシオガマ
新山のガレ場を登る
※15年前の1994年7月29-31日にクラシック企画(リーダー阿部義平さん)で鳥海山に44人が登った。そのときは新山に入らなかった。