ポトッ、ポトッ、明け方近くトイレに起きた耳に雨音が響く。だが時間が経つにつれ空に明るさが出てきた。行くぞ!身仕度もそこそ
こに家を飛び出した。晴れ間が除々に大きくなるにつれ車内は陽気度もup。晴れ上がった鎌倉駅に現地参加組も加わって賑やかなこと。
日射しの暑いバスに揺られて30分、本日のメイン朝比(夷)奈切通しに着く。朝夷奈三郎が開削したと云われ、北条時代から700年もの
間防御と交通の要として往時の面影を色濃く残すというだけあって、左右の切立ったでこぼこ道を湧き水の流れに気を取られながら快
い興奮に浸り三郎ノ滝に着いた。滝の前でハイポーズも終わり娑婆に戻って自動車道を明王院へウォーク。由緒ある茅ぶきの屋根の本
堂は、撮影禁止で残念。四季の花々の多いことでも知られている当院も今日は残り花を観賞する程度。春先に来るといゝかも。そこか
ら細い路地を通り天園コースに取り付く。途中庚申塚近辺で昼食後瑞泉寺へ。鎌倉の末期に開かれた禅寺で紅葉が美しいと云われ、期
待して来たのだが温暖化のせいか赤味が見られず冬桜がちらほら咲いていたのが慰め。山茶花の花がひとり気を吐いていた。作庭家と
して有名な高僧夢窓疎石の作った名庭もやはり紅葉の彩りが欲しいところ。併しそれらを除いても瑞泉寺は鎌倉屈指の名刹であること
に違いない。鎌倉宮への帰り道思わぬハプニングが起こった。宮の裏通りを歩いていると或豪邸の表札に「平山」とあり、さほど気に
もしないでいたが、突然ひょっこりその主人が一人で門から現われ、前後の人達も思わずウォッ・アラーと声を上げ、自分も思わずは
っとして帽子を取った。それもその筈、あのシルクロード等でもお馴染の平山郁夫画伯その人。芸大の学長その他国際的にも数多くの
功績を残し諸外国の勲章もいっぱい貰っている超有名人が我々と肩を並べ気さくに歩いている。2〜3軒隣の横道に消えて行かれたが
白昼夢の様な一幕だった。雲一つない青空と平山画伯。本当にメモリアルな一日だった。