都会の桜も終盤に近い4月の中旬、気まぐれな天気の合間をぬって長瀞町
いわゆる秩父路へ、花とハイクの旅に出た。電車の車窓の景色も桜を中心に
春一色。左側に武甲山が見えれば、もう秩父駅も間近い。桜・つつじ・菜の
花・渓流等々里の春を満喫するには、東京から近く変化に富んだここ秩父路
がお奨めである。今回は長瀞のとなり野上駅から、ミツバツツジで名高い岩
根山(300m)へハイク。途中高砂橋から長瀞ライン下りの船に手を振り法善
寺のしだれ桜を観賞。お寺だけではなく赤と白の入り混じったしだれ桜が町
中でも見かけられ、歌舞伎の舞台を彷彿させるようで何とも美しい。
まずは岩根山へとアタック開始。低山の定石どおり割ときつい一気登りが
続いたが、それもあまり長くはない。トップの近辺でお昼。食べ終る頃に軽
く一雨きたが大したことはなく下り道に入る。しばらくして前方から歓声が
あがった。待望のミツバツツジの群落である。それも半端ではなく、山の中
腹から岩根神社にかけて紅紫色の満開の花と沿道の桜の花とが織り交じって
一大ページェントを見事に展開している。地表に近い芝桜・菜の花なども素
晴しいが山々という自然の舞台装置をバックに1000本以上の見上げるような
ミツバツツジの大群落がここぞとばかりに咲き誇り、我々の眼前にひろがっ
ている。古くは明治の中頃に神主たちが山に生えていたものを移植したもの
とのこと。都会ではなかなか味わうことのできない桃源郷から覚めきらぬま
ま紅潮した顔を車窓に映し出し、満足度100%で帰路についた。